狂った祝祭

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 まといさんの言う通りなら、杉沢あずまという人物が過去に人を殺した事のある殺人鬼で、この村をコントロールする目的で来たという事にも納得がいく。 だとしたら、杉沢あずまが、この村をコントロールする動機や目的、メリットってなんなのか。この村との接点というものが一切ないので、どれも結びつかない。が、逆に動機がなくても平気で人を殺す人間は一種類だけ存在する。 サイコパスだ。 反社会的人格障害。表面上は口達者、利己的な性格、自分の非を認めない、平然と嘘をつく、多人に共感しない、そして他人を操ろうとすると言った特徴を持った人が多いと聞いた事がある。その特徴から杉沢あずまがサイコパスに当てはまるか考えてみる。確かに「色々な事を知っているが故に口達者ではある」が「利己的な性格」かといえば、利己的であれば、村の掃除をしようとするだろうか。村の人たちに共感を示すような態度でいる。ここまででサイコパスに該当している可能性は低い。但し「最初から最後までが嘘」でなければだが。 欲をいえばサイコパス殺人鬼は、メディアの影響から「ひゃっはー!」と嬉嬉としながら人を殺す人間のイメージが強いが、杉沢あずまからはそんな雰囲気は見受けられない。 何にせよ、出会った第一印象での杉沢あずましか私は知らないのだが。  「まといさんの気持ちもわかります。俺みたいなよそ者がリーダーをやる事には納得いかないでしょうね。たくとさんの自殺がきっかけでですから尚更でしょう」  「まといさん、もしもあずまさんが、村を乗っ取るつもりなら、自ら立候補していた筈だ。あずまさんは、最初、私をリーダーに推薦し、次にあなたも推薦してくれたんです。村を乗っ取る人間がそんな事をしますかね」  それは私も、その場で話を聞いた。むらせさんは、年齢だと返り咲くのを事態したし、まといさんはリーダーになれる心情ではないから除外していた。その結果、杉沢あずまになったんだ。  「薦めたら辞退する事をわかってそういったんじゃないでしょうか」  「それでも、自分がリーダーをやることを村のみんなが賛成するか心配していましたよ」
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