狂った祝祭

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 「知っての通り、殺人鬼が村に出たので、安全の為に点呼をとります。山本さん。倉科さん。鎌田さん」  「貴様、最初から俺たちのことを…うっ!」  「村の人間を殺したなっ!…ぐっ!」  「戦える者は加勢しろ、こいつを殺…が!」  これが本物のサイコパス殺人鬼の殺しなのか。 無駄口を一切叩かずに、射程距離に入った人間の急所のみを狙って攻撃する。まさに相手を、殺すことしか考えていない、そして迷いも恐怖もない非道な行いだ。許せない。許せないが今飛び込んだら確実に殺されてしまう。 浅間は点呼を取りながら、飛びかかって来た村人を一人ずつ手をかけていく。不謹慎だとは思うが「次は誰が殺されるのか」まるでデスゲーム小説を読んでいるような感覚に陥りそうになるが、書く側も「次は誰を殺そうか」そんな事を考えながら書いているのも事実の一つだ。しかしそんなデスゲームでも「語り手のみが生き残る」不平等が起こるのは、死亡するとそれを記録する人がいなくなるからだ。私まで浅間に頭の中を汚された気がするが、目を背けたくなるような光景を、私は耐えながら見るしかなかった。  「さて、皆さま揃ったようですね。それでは村の歌を歌いましょう。わろすはまっぱにしてごせよ♪ ばろすもすっぱにしてごせよ♪ やばすもこっぱにしてごせよ♪」
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