狂った祝祭

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最終章  以上が『いかい村』で起きた出来事の全てだ。 連続殺人鬼、浅間義行は過去に村を数件潰し、村人を手にかけるばかりか、ユーチューバーの『杉沢あずま』氏をも殺害した。そして私が訪れる事になった『いかい村』の村人たちも。  村人たちを欺いた事も、操った事も、殺害した事も、人の権利を軽視した許せない行いだが、最も許せないのは終始に渡り、私を欺き、利用して記事を書かせた事だ。最初から最後まで浅間にコントロールされていたのは私なのだから。 とはいえ、人がバタバタと倒れていくのを間の辺りにしながら、助けもしなかった私も『何もしなかった』という罪を犯していたのかも知れない。 助けるべき命を助けず見捨てるのは、喩え、出来ないとしても罪である。 浅間善行がこの村で行ったかずかずの凶行を、事細かに記載した。自殺教唆に始まり、殺人、詐称に遺体損壊や遺体遺棄など。さまざまな罪状が出るだろう。それから私に記事を書くように強要した脅迫罪も。自殺教唆は殺人教唆と同じくらいハードルの高いハイレベルな犯罪だ、それをやってのける頭脳の持ち主だが、切り抜けるのは困難だろう。 今回の事件で、地図に載らない村というだけで全てが呪われている訳でもなく、そこにやって来るユーチューバーも普通の人ばかりとも限らないが異例中の異例も存在するという事を学んだ気がするいっぽうで、どんな村のどんな家にも過去という物はあるんだと思った。最後になるが、あの村のおとぎ話しの真相を、私なりに論じてみようと思う。 「森の中にやぶきりおにが住んでいた」とあるが村の外からやって来た人間の事だ。そして「村人がお供え物にした金や銀」は殺害した外部の人間が身に付けていた物の事。おとぎ話しではなく全て実話だったのだ。  しかし、今回の事件を期に、人と会うのが怖くなったので、ノンフィクションライターを辞めてフィクション作家に転向することにした。悲惨なノンフィクションはたくさんだ。それと、暫くは休養を取る事にする。ホラー映画を観ながらポップコーンを頬張り、ゆっくりと。  「わろすはまっぱにしてごせよ♪ ばろすもすっぱにしてごせよ♪ やばすもしてごせよ♪ やいてにてむしたら、くっころがしてちょい♪ やいてにてむしたら、くっころがしてちょい♪ ちいちいかまちょ♪ちいかまちょ♪ちいちいかまちょ♪ちいかまちょ♪」 了
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