【優二視点】本編・第1話「入学式」~薔薇色な高校生活の幕開け~【???×優二】

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【優二視点】本編・第1話「入学式」~薔薇色な高校生活の幕開け~【???×優二】

「一目惚れなんだ!」 それは高校の入学式が終わった後の事。 晴れて高校生になった俺は、隣のクラスの生徒に体育館の裏へと呼び出され──今日、初めて会ったばかりのその相手に、告白された。 まあまあ可愛い外見をしたその相手は、顔を耳まで真っ赤にして、それでも瞳は真っ直ぐ俺を見ている。 その様子を見れば、その言葉は冗談などではなく、本気(まじ)なのだとわかる。 ……正直、こういうのには慣れている。 一目惚れだと言って告白してくる奴なんて、多すぎてもう数えるのを止めたくらいだ。 まあ、可愛い子が自分に告白してくるというのは、男なら誰だって悪い気はしないだろう。 しかし、それは相手が異性──女の子なら、の話しである。 残念なことに、俺に告白してきたこいつは、同性……どこをどう見ても、男だ。 「俺……見ての通り、男なんだけど?」 「うん、知ってる」 「……お前、男が好きなわけ?」 「そういうわけじゃないけど──でも、好きになっちゃったんだ!」 君の事が!と続けて言われ、俺は思わず溜息を吐く。 ……ほんと、多いんだよなぁ、このパターン。君だから好き!的な奴。 「俺、男に興味は──」 ない。そうはっきり言おうとした。 「わかってる!でもボク、諦めないから!」 しかし俺が言うよりも先に、そいつはそう言って俺に背を向けると、目の前から走り去ってしまった。 「……はぁ~っ」 一人その場に残された俺は、思わず頭を抱えて、今度は少し長めの溜息。 ああ……そういえば、言うだけ言って名前も名乗らない様な奴、中学の卒業式にも居たな。 ったく、何で──。 「なんでいつも男に好かれるんだよ、俺はぁ──っ!!」 こうして、俺……堀北優二(ほりきたゆうじ)の、文字通り薔薇色の高校生活が始まってしまったのである。
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