【優二視点】本編・第2話「休み時間・その1」~大事な親友と苦手な担任教師~【桜井×優二+光一】

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「俺、髪染めよっかなぁ……」 自分の髪の毛先を指で弄りながら、そんなことを言ってみる。 うちの学校では校則違反にならないし、アリかもしれない。 そんなことを、わりと本気で考えている時だった。 「止めとけ、優二~。将来、ハゲるぞ?」 「げっ!その声は……」 背後から聞こえた声に、思わず声を上げる。 振り返れば、そこには俺の予想通り……担任教師の、桜井勝人(さくらいまさと)先生の姿が。 「『げっ!』とは、なかなか酷い反応だな~、優二くん?」 「す、スミマセン……」 正直、俺は桜井先生のことが、少し苦手である。 何故なら、この桜井先生の担当教科は──俺の大の苦手な、数学だからだ。 「そんなに俺のことが嫌いか~?」 「嫌い、というか……苦手なんですよ!に・が・て!!」 「それって、ほぼ同じなのでは……?」 「しっ!余計なこと言うな、光一!」 そう……桜井先生のことは、別に嫌いじゃない。 今のところ、俺に好意を寄せている感じでもなさそうだし。 ただ、担当教科が数学っていうところが、苦手なだけで──。 「よぉーし、じゃあ先生が放課後、特別授業をしてやろう。有難く思え~?」 「ひいっ!か、勘弁してください!!」 ……前言撤回。 やっぱり嫌いかもしれない──桜井先生。 「とにかく、髪は染めるなよ~?」 「なんでですか……」 「言っただろ?将来、ハゲるって」 「ぐっ……それは嫌だ!」 「なら、大事にしとけ~。髪なんか染めたら、別れが早まるかもしれないぞ~?」 「うぅ……なあ、光一。髪って染めたら、本当にハゲるのか?」 「え?う~ん……心配なら、桜井先生の言う通りにしておいた方が、いいんじゃないか?」 「ちえっ。んじゃ、そうしておくかぁー」 「おー、それがいい。ついでに、俺の放課後居残り特別授業も聞いていくといいぞ~?」 「それは本気(まじ)で、遠慮します!」 何故ここまで、桜井先生が止めるのか……この時の俺は、まだ知らない。 「桜井先生……もしかして優二の髪の色、好きなのかな?」 そして光一が、そんなことを呟いていたということにも、俺は気付いていなかった。
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