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【光一視点】番外編・第1話「帰り道と放課後・その1」~運命の人との出会い~【京介×光一+優二】
それは高校生活が始まって、すぐのことだった。
「はあ?大学生の男に、告白されたぁ──!?」
そんな酷く驚いた親友の声が、昼休み中の教室に響く。
幸いにも教室にいた生徒は少なく、こちらへと向けられた視線は、そこまで多くはなかった。
「ちょっ、優二!声が大きい!!」
「あっ、悪い……なあ、それ本気(まじ)の話し?」
「……僕が、こんな嘘を吐くと思うか?」
「あー、そうだよなぁ。そんなわけないよな~……」
そう──今、優二に説明した通り。
昨日、珍しく優二がいなかった、ひとりでの帰り道。
僕は大学生の男の人に、告白された。
「告白されたって……お前、そいつのこと知ってるのか?」
「直接本人に会ったのは、たぶん初めてだけど……優二も、名前は知ってるよ」
「え、誰?」
「遊佐京介(ゆさきょうすけ)……っていえば、わかるよな?」
その名前を聞いた途端、優二の顔色がサーッと青くなる。
どうやらわかってくれたらしい。
「え……あの、俺たちが中学生の頃、近所で有名だった、不良高校生の!?」
「ああ、そうだよ……」
「なんでそんな奴が、光一に!?」
「そんなの僕が知りたいよ……」
僕と優二が、まだ中学生だった頃──近所で騒がれていた、ひとりの不良高校生がいた。
それが、遊佐京介さんだ。
向こうが名乗った名前と、噂に聞いていた容姿から、彼だと気付いたわけだけど……。
「で?そんな奴からの告白……ちゃんと断れたのか?」
「それが、ちゃんと断ったんだけど……」
そう……僕は彼の告白を断った。それも、はっきりと。
そのはずなのに──。
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