届かぬ想いが声になって

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僕は、今日。 ずっと好きだった人に告白する。 面と向かって告白。 それが理想だけど、一度失敗したから電話で告白する。 ダサいって? どうぞ、ご勝手に言ってください。 電話で告白も立派な告白なんじゃい! そう頭の中で強気になりながらも実際は、スマホの画面に好きな人の電話帳の画面を見るばかりでなかなか電話ボタンを押せずにいた。 何度か自分なりにイメトレをした。 第一声はあれにしよう。告白の仕方はストレートで行こう。 緊張して声が裏返らないように発声練習しておこう。 もしかして無駄かもしれないイメトレをし、電話をすると決めてから一時間が経とうとしていた。 イメトレをしただけであってまだ告白の前段階にいやしない。 さすがに告白すると決意した手前、何も行動に移さないのは男ではない。 ええい。もう当たって砕けろ精神で通話ボタンを押す。 プルルルルと呼び出し音が鳴る中、僕は早く電話に出て。いや、出ないで。とヘタレ腰になっていた。 本当に情けないなと思うよ、自分でも。 だが、何度かけても留守電になってしまう。 番号が変わったのか。はたまた拒否られているのか。 どちらにせよ、告白できなかったかと残念な気持ちになりながらベッドにダイブする。 そもそもどうして告白をしようと思ったのか。 それは、僕が中学に入った頃に遡る。
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