クリスマスなんて

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クリスマスなんて

ーーーーー なんて子供心に大嫌いだった。 サンタさんなんて夢に満ちた言葉が大嫌いだった。   だからクリスマスが近づくと暗い気分になる。 ーー今度のクリスマス、何が良い? 竜司と最後に会った土砂降りの夕方   そう言ってホストには似合わない    はにかんだ笑顔を私に向けた。 それっきり竜司は消えた。   3歳の時に消えた父親みたいに。 夢みたいなファンタジーなことーーー   似合わない。   そう私には似合わない。 本心じゃ誰よりも憧れがあるのに。    そのくせ強がって見せる。  強がってないと今日までも生きて来れなかったはず。いつかは自分にも真っ赤な服を着て、真っ白な雪みたいなボンボンがついた真っ赤な帽子を被った王子様が、大きくてあったかくて、私の小さな手では抱えきれない位のプレゼントを背負って駆けてきてくれる。 そうーーー 夢みてる。ううん、夢見てた。あの日までは。    誰にも言ってないけど、    竜司にも言えなかった。 ううん、竜司だから言えなかった。
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