イイネの貪欲

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イイネの貪欲

SNSで映える料理が流行る昨今、新たな映え料理を見つける事を生き甲斐にするものもいる SDGsで食品ロスが騒がれる中で映えのために大量に注文しては残すという行為も問題視されている そんな中の対策として希菜(まれな)は友人の由美(ゆみ)を連れて歩く 「きゃー!おしゃれー!超ー映えだわぁ!これはまたバズっちゃうなぁ」 パシャパシャと撮影して楽しそうな希菜を呆れたように由美は見る 「よし!いいの撮れた!由美食べていいよ」 そう言って殆どの食事を由美の方に押しやって画像の加工を始める希菜を見て由美は怒る 「ちょっと!またほとんど私が食べるの!?」 それに悪振れることなく希菜は言う 「当たり前じゃん私太りたくないもん、良いじゃん由美はいっぱい食べても、もともと大きいもんね」 「なんですって!」 由美の怒りなど気にせず呆れたように笑う希菜 「事実じゃん、いいでしょ?私のお金で食べれるんだから存分に食べなよ、いつもこのくらい食べてるでしょ?」 「こんなには食べないよ、いっつも頑張って食べてあげてるのに感謝もないの!?」 「何を感謝するの?私のおかげでたくさん食べれるんだからそっちが感謝してよ」 画像を加工しながら希菜は興味なさそうに言うので由美はもう我慢の限界 「もう知らない!希菜にはもう付き合わない!」 由美はそう言うと食事に手を付けずカフェを出ていく 「ちょっと!食べてよ!」 希菜の言葉など聞こえないように由美は帰っていく おごってもらっといてなぜ切れるのか、そう思いながらも希菜はケーキとカフェラテだけ口にして殆ど残して席を立つ 「お客様まだ食事が残っていますが?」 「え?あーもう食べれないから手を付けてないし店員で食べれば?てか会計してよ」 店員は少し不服そうな顔をして「2568円になります」と会計をする 希菜は帰りながらさっき上げた画像を見ればいい感じにいいねが付く 「やっぱあのカフェ当たりだなぁまた行かなきゃ!でも由美がなぁどうしよぉ」 だいたいお金は払ってるんだから残そうが食べようが如何でもいいだろう、自分がお金を払ってSNSで宣伝してあげているのに何が問題なのか 由美は奢ってもらっておいて怒るし、店員は態度悪かったし本当に今日は理不尽な思いをした。 でもあのカフェは料理のビジュも良いし来週は期間限定の料理も出る、イイネを稼ぐにはあのカフェが一番いいのだけどどうしようかなぁと悩んでいるとサッと春の暖かな風のような風が通って行った。
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