2人が本棚に入れています
本棚に追加
理解
突風に目を閉じて目を開けたら周りが町中から一面ルピナスの花畑に変わる、花に詳しくない希菜的には色とりどりの天に登るように花を咲かせるルピナス畑はファンタジーの世界の新たな植物のよう、そして、足元には金色の石畳が1本まっすぐどこかに向かって伸びている
「何ここ!映える!てか私どうやってこんなとこに来たの?もしかして異世界転生!?」
漫画のような展開にワクワクしながら希菜はとりあえず金の道を真っ直ぐ歩いていると真っ白なガゼボの中で茶色のスーツの男とヒラヒラふわふわキラキラとした紫を基調としたワンピースに紫色と白のボンネットというロリータ服の紫色の髪の幼女が可愛いティーカップでお茶の時間を楽しんでいるある程度近づいたところで幼女がこちらに気が付き不機嫌な顔をする
「嫌でしゅわ、コキアおじ様とてぃーたいむをしておりましゅたのに、こんな時に迷い蝶だなんて」
初対面の幼女に不機嫌になられてこちらだって来たくてきたわけではないのになんで非難されないといけないのか希菜も不機嫌になるがコキアおじさまと言われた男が紅茶を飲んで言う
「ルピナス、仕事は仕事だ、私も君の成長が見たい、見ていてあげるから仕事してみなさい」
「わかりましゅたわ、おじさま」
ルピナスと呼ばれた幼女は男に返事をすると持っていたティーカップをソーサラーの上に置いて希菜の方を見る
「しゃあ迷い蝶、あなたは何に迷ってるんでしゅの?」
だいぶん尊大な態度で聞いてくる生意気な幼女に何だが苛つく
「生意気な子供だなぁ、迷ってるってか勝手にここ来てたの!ここ何処よ」
希菜がそう言うとルピナスは「はぁ」とため息
「ここは迷いの花畑でしゅわ、ここに来る前にあなた何か迷っていらしたでちょ、それを聞いてるんでしゅのよ」
迷っていた事?と首をひねり、「あー」と思い返す
「今日行ったカフェがメニューは良いんだけど人が悪くてまた行こうか迷ってたのよ、友達もキレてるしわけわかんない」
希菜がそう言うとルピナスは一口紅茶を飲んでから真っ直ぐ希菜を見る
「周りがお怒りににゃる原因があったのでは?」
「えー?だって由美は私のおごりでいっぱい食べれるしー、お店もたくさんお金出してもらってるんだよ?ちょっと多く残すくらい良くない?手付けてないから店員で食べればいいしー、私いい事しかしてなく無い?」
希菜の言葉にルピナスと紳士は顔を合わせて首を振る、何だかムカつく行動だと希菜は顔をしかめる
「あなた、しょれ本気で言ってましゅの?」
明らかに呆れた顔のルピナス、なんで幼女にそんな顔されなきゃいけないのか、本当に腹立たしい
「そうだけど?私何も悪いことしてないじゃん、ぶーちゃんの由美にご飯あげてーめっちゃお金払ってカフェの宣伝してあげているのに何が悪いの?私以外の人だって残す人とかいるじゃん」
本当に希菜にはわからない、自分はいい事しかしてないし、何故由美や店員に嫌な態度をとられ、こんな幼女とおじさんに不憫なものを見るような顔されなきゃいけないのか!
「あなたは作ってくれと言われたものを作ったのにほとんど手を付けず残しゃれたらどう思いましゅの?」
「そんなの自分で食べれば良くない?」
「自分で頼んでもない物を食べさせられてブーちゃんと言われたらどう思いますの?」
「私そんなに食べないしー、でも奢ってもらうなら少しは食べるよ、ラッキーじゃん奢ってもらえるんだから」
「ほぼ毎回自分だけ大量に食べさせられましゅのよ?」
「食べたくなきゃ食べなければ良いじゃん」
ルピナスと紳士はまた顔を見合わせ難しい顔をする
「てかなに?ここ何処?凄い映えるけど電波無いじゃん」
スマホを見ると圏外マーク、この時代に圏外なんてあり得ないと希菜は不貞腐れる
「あにゃたここにしゅわりなしゃい」
ルピナスは椅子から降りて空いている席の椅子を引いてからまた自分の席に付く
「なんでよ、私電波のあるところに帰りたいんだけど」
「いいから、1杯くらいお茶を飲む余裕はあるでちょ」
ルピナスの言葉に二人が使っているティーカップは可愛く映えるなぁと思っていたし、飲ませてもらえるならと希菜が席に付くとポンとティーウェアが現れ、ティーポットが勝手にティーカップに紅茶を注ぐ希菜は、すかさずスマホで撮影する、ティーカップに紅茶が注がれ終わるとティーポットはポンと消える
「え!すごーい!やっぱ魔法!?異世界転生!?てことは私死んだの?えーそれはショックなんだけどー」
「うるしゃい人でしゅわね、ちんでないでしゅわよ、ちずかにお茶を飲みなしゃい」
なんでこの子は高圧的なのか、けどお茶は美味しそうだから飲む事にする、
一口飲むと鼻孔に広がる花の香りを感じた後ざわざわという音で目線を上げれば見慣れた町並み、希菜は歩道の真ん中でティーカップを持つような手をして立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!