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涙
希菜は厨房で忙しく食事を作っている、いや視界はそうだが体は勝手に動いているし誰かの感情が入ってくるし食事を作るのって大変だと言う苦労は、わかるが希菜の意志では動いていない
「おし、できたぞ」
「はい!持っていきます!」
なんだか聞いたことのある男の声が口から出てあのカフェの店員が嬉しそうに食事を運ぶ様子を希菜は見ている、暇な時間なのかあまり人はいないので希菜はカウンターの方に出て新聞を読みながら希菜の作った料理を美味しそうに嬉しそうに食べる人達を見ている、なんだか頑張って作った料理を評価されて少し嬉しい気がする、しばらくするとまたお客さんが来て同じ事を繰り返す、
あぁ作ったものを美味しく食べてもらうって嬉しい事なんだなと感じていると希菜が入ってきたのに希菜は驚くと同時に体の主の不機嫌さがなんだか感じる気がする、希菜の注文を聞いてたくさん料理を作る、そして他の人の注文を作りながら希菜を見ると頑張った料理は殆ど減らず混ぜ合わせたりなどして遊ぶ希菜が見える、美味しい顔が見たくて頑張って作ったのにと言う怒りや悲しみが伝わってくる
あぁ私は何て事をしたんだろうと、思うとまた頭の中で声
『じゃあ最後でしゅ』
またブワンと歪んで視界が変わると大学のトイレで少しふくよかな希菜が鏡に映っている
「え?私?」
少しショックを受けているとそこに大学のイケイケ組の女の梨愛が来る
「希菜ー行くよ!」
「え?何で梨愛ちゃんが」
「何言ってんの?私達友達じゃん」
憧れの梨愛に友達だと言われて嬉しくなる希菜
「とも………だち?私達が?」
「もー!希菜変だよ?てか早く行こ!約束だったでしょ!いっぱい食べされてあげる!」
そう言われて梨愛に連れられてあのカフェに来る
梨愛は次々とメニューを注文してからメニューの揃った写真を撮ると、ジュースとケーキだけ自分の方に置いて他を希菜の方に寄せる
「さ、どうぞ、お食べよぶーちゃん」
と嫌らしく笑う、あ、違う友達じゃないこれは
希菜が由美にしていたこと
「り、梨愛は食べないの?」
「いやいや、こんなに食べたら太るじゃん、希菜はいっぱい食べるでしょ、ほら、食べなよ!美味しいよ!ここの料理!」
「いや、でも私も太っちゃうし」
「は?」
「今更でしょ、気にしてんの?」
梨愛の心無い言葉に希菜はぷくぷくの自分の手を見てガラスに映る少し丸くなった自分を見る、あぁ由美はこんな気分だったんだ。
「早く食べてよ希菜、勿体無いじゃん、これくらい食べれるでしょ、ブーちゃん」
「もう止めてぇ!!!!」
希菜が耐えきれず叫べばすうっと甘い匂いが鼻を通る、目を開ければ茶色いスーツの紳士とロリータの幼女ルピナスがいる
今のは、夢?
「今のは夢でしゅけど夢じゃないでしゅからね、最初のはこのままのあなたでいると起きる事でしゅ」
希菜はゾクッと背すじが凍るあんな事が起こるなんて絶対に嫌だそれに
気分が悪い
そう思っているとルピナスに話しかけられる
「無理矢理食べしゃしぇられたり、大量に作った物を残される気分はどうでしゅた?」
「最悪だった」
一気に起きた恐ろしい事や悲しい事を処理できなかった希菜はいつの間にか泣いていた。
「なら貴方はこれからどうしゅべきかわかりましゅたか?」
希菜はコクコクと頷く
「しょの気持ちわしゅれちゃらめれしゅよ」
ルピナスの言葉で1陣の風が吹き希菜は町中の歩道に立っていた。目からは温かいものが流れていて今のは夢じゃないと言うようだ
「由美に謝らなきゃ」
希菜はスマホを取り出して歩くのだった。
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