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「それでね。結婚したら旦那さんと姑さんが豹変したんですって。実家や友達との連絡を絶つよう強制されていたんだって。嫁いびりもされてたみたいだし――……」
「それは離婚して正解ですよ」
「で、その愚痴を散々聞かされていたってわけ。大変なのは分かるんだけど、やたら興奮して途中から大声になっちゃって。もう、どうしようかと……。話を聞くのは取材で慣れていると思ってたんだけど、プライベートはまた違うみたいで」
こういう時、余計なことは言わない方が良いと理解している十月は、「うんうん」と答えながら準備したお菓子と珈琲をリビングへと運んだ。
珈琲の香りが式野の気持ちを安らげてくれる。
「家事以外のことをさせるのは申し訳ないけど、少し話を聞いてくれる?」
「良いですよ。勿論口外しません」
「ありがとう、助かるよ」
式野はそう言って話を始めた。
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