2021.4.2

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2021.4.2

私は近所にある竹本劇場にやってきた。 私は漫才師のバイトをしている。 今日も頑張って漫才するつもりだ。 開演前に出演者が1列ずつ並ばされた。 どうやら、係の人の説明があるらしい。 (やっば〜、緊張する……) 心の中で私は必死に緊張する自分を抑えていた。 そう思っていると、私の番がきた。 係の人から、個人番号、ロッカーの番号、順番が伝えられ、給料が渡される。 はずだった……。 なぜか、私だけを飛ばして、次の人に個人番号、ロッカーの番号、順番が伝えられ、給料が渡されていた。 (え、どうして?私、いつも頑張って舞台に立ってるよね?) 『あの!』 係の人を呼び止めようと、声を上げた。 でも、係の人は聞く耳すら持たず、次へ次へ行ってしまい、私に給料が渡されることもなかった。 すると、 『俺、最高75万貰ったことあるぜ!』 と中学の同級生が周りに自慢していた。 周りの人は、 『え、すっご〜!』 『いいな、俺も頑張れば貰えるかな』 とか羨ましそうに言っていたけど、私はなんも思わなかった。 そもそも、 (……だから?) ってなった。 相手にするのもバカバカしいと思って、私は相方の子の傍に行った。 『今日は頑張ろ!』 とその子が真剣な目で行ってきた。 だから、私も 『うん、頑張ろ』 って、そう返したのに1度もその子と目が合わなかった。 (○○は、私と目を合わすのが嫌なのかな……?) 私は、いつも明るくて元気な○○が目を合わさないことに疑問を抱いていた。 この子は数年前からずっとペアを組んだ子だ。 私は、荷物を預けようと更衣室に行った。 ロッカーの番号を打とうとした時、手が止まった。 (ロッカーの番号言われなかったけど、前回のロッカーを使えばいいか……) そう思い、前回使っていた自分のロッカーに番号を打った。 そしたら、 『あれ?あかない……。なんで?』 ロッカーはあかず、番号も違っていた。 私は更衣室を後にして、家に帰ってロッカーの番号を確認しに行った。 家の前に着いた時、 ガチャ 私の家のドアが開いた。 『今日はありがとね、楽しかった』 『おう、また来いよ』 私の家から出てきたのは、カップルと思われる男女だった。 (え、そこは私の家なのに……) そう思いながら、私はその場で唖然とした。 ハッ! 我に返り、手元の腕時計を見た。 『やばっ!もうすぐで始まるじゃん!』 私は、急いで自転車で会場に向かい、本番開始40分前なり会場に戻った。 また、出演者が整列した。 ドッドッドッドッド!! 私の心は緊張で音が響き渡りそうだった。 なぜなら、相方とは一切ネタ合わせをしていないからだ。 だから、ぶっつけ本番でどうにかしなければならなかった。 (まじで、やばい……。どうしよ……) 私は、不安と緊張で胸がいっぱいだった。 舞台裏に戻り、1番最初のペアが舞台に立ち、ネタを披露した。 『ねぇ、ネタ合わせしてないけど、どうする?』 相方の子と少しでもネタを合わせようと、私はその子に話しかけた。 そしたら、 『あ、○○!』 とその子がどこかに手を振っていた。 私は私の知らない名前が出てきて、ビックリした。 手を振っている所を見ると、私のペアの子に手を振っている女性を発見した。 (……誰?) 『もう、どこに行ってたの!』 『ごめん、ごめん』 『よし、最後にネタの練習しよ!』 と急に私の目の前でその2人がネタの練習をしていた。 (え、どうして……?だって○○は私のペアで相方だし……。ネタ合わせだって1回もしてないのに……) 私は混乱した。 『ねえ、○○!貴方の相方は私だよ?その女だれ?ねえ!ねぇってば!』 何度、私が話しかけても、まるで聞こえないかのように反応してくれなかった。 舞台に立っても、誰も私を見てくれなかった。 『どうして……?どうして、誰も私を見てくれないの?』
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