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『…ってことを土曜日に言われたんだけど、どう思う?』 月曜日、会社の同僚2人とランチしながら聞いてみた。 相談したかったわけではない。 ただ聞いてもらいたかった。 『どう思うってねぇ。 それは男女の友情否定派の貴子はモヤるだろうね。』 同期の由美(ゆみ)は良くわかってくれている。 『私も全部を否定してるわけじゃないんだよー。 男女の友達というか、親友的な付き合いが嫌なだけで。 社会人になって、人との付き合い方を学んで少しは柔軟な考えになったよ。』 『あんな社交的な人なのに、今まで何も無かったんでしょ? まあ、好きな人の事だと勘が働くときもあるけどね。 今回も気にすることないんじゃない?』 大希も同じ会社でひとつ上の先輩だったから、由美も知っている。 大希は私達が入社した次の年に親戚の会社を一緒にやる為に辞めていった。 大希はとても社交的でお喋りで、誰とでもすぐ仲良くなる。 男女ともに好かれ、社内でも大希の悪口を聞いたことが無かった。 男女の友情を信じていない私は、誰彼かまわず友達だという彼を別世界の人だと敬遠していた。 誰にでも言っているのだろうと、遊びに誘われても躱していた。 いつか数人で残業している時に、頻繁に通知音が鳴る携帯を『うるせぇ』と言って電源を切り仕事に集中している姿のギャップにやられ、興味を持った。 2人で出かけてみると、会社とは裏腹に落ち着いていてちょっと腹黒い。 友達と呼ぶ人は多いけど心を開いているのは限られた人だけだとわかった。 誘っているのも私だけだとわかった。 なぜ私だったのか?はわからないままだけど。 すぐに打ち解けるから心配になることはあったが、その場で終わるのでいつも取り越し苦労だった。 だから次第に気にしなくなっていった。
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