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『男女の親友どころか、それ以上のものを感じちゃったから嫌なんでしょ、先輩は。』 ずっと黙って聞いていた川嶋(かわしま)くんがハンバーグを食べ終わって口を開いた。 2つ下の彼は大希のことは知らない。 会社の飲み会で席が近くなり3人で盛り上がってから妙に私達に懐いてくれて、何となく毎日3人でランチする仲になった。 『相手が女性ってなると’運命の再会‘っぽく聞こえるもんね。』 さらに言う。 『そうなんだよねぇ。』と頷くしかない。 『それ、元カノか片思いが実らなかった相手かどちらかでしょ。 グループで仲良かったら今どき連絡先がわからないとかありえない。 何かを拗らせて連絡できなかった相手ってことだよね。』 川嶋くんの言葉に胸のモヤモヤが解き明かされていく。 『由美…最近の若い子は遠慮が無いね…。』 納得し過ぎて、それしか返す言葉が無かった。 『あざーす。』なんて言ってる。 『川嶋、傷口に塩を塗るのは止めなさい。』 由美が川嶋くんを睨んでから続ける。 『そんなに気になって嫌なら、田中(たなか)さん本人に言いなよ。 その日だけの盛り上がりだったかもしれないしさ。』 『うん。 2人とも、聞いてくれてありがとう。』 そうだよね。 その日だけの盛り上がりだったと願うよ。
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