男女の友情は信じない

4

大希とは土曜日に必ず会っている。
ダメな時は日曜日。
平日も用事が無くても何か面白いことがあればメールしたりする。
約5年たった今でも仲良くしている。

今週は2人とも好きな映画の続編が公開になるので、金曜日の初日に観ようと約束していた。

普通にメールのやりとりをしてモヤモヤが少し薄れていた木曜日の夜、大希から電話があった。

『明日さ、飲み会になっちゃって。
映画、土曜日でもいい？
チケット買っちゃった？』

『…あ、うん。
まだ買ってなかったよ。
会社の飲み会？』

『ほら、この前高校の友達にバッタリ会ったって話したじゃん。
それてみんなで集まろうってなって。
みんなの予定が合うのが明日しかなくてさ。』

《私との約束は？》

言いかけて止めた。

争いは苦手。
決別しても仕方ない…くらいの覚悟がある時しか人と争えない。
まだそこまでの覚悟はしていない。
それに正直に再会した友達絡みの飲み会だと言っている。
ここで何かを言うのは、疑っていることが事実になりそうで、信じていないことにバチが当たりそうで怖かった。

『そうなんだ。
じゃあ土曜日にね。』

少しソワソワした話し方に薄れていたモヤモヤがまた色濃くなっていった。