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土曜日の昼頃、昨日飲み過ぎたと言いながら映画館の待ち合わせにやって来た大希は特に変わった様子は無かった。
終わった後、いつものようにお茶をしながら映画の話をして盛り上がった。
大希の家で前作をまた観ようとなり、おやつと軽食を買い込んで観賞した。
何年経ってもこういう2人の時間は楽しい
映画を何本か観たら遅い時間になったので、そのまま泊まった。
私の必要なものはだいたい置いてあるので急に泊まっても困らない。
歯ブラシにコップにタオルに着替えに下着。
それらは‘私は大希の特別’なんだと思わせてくれる。
昨日の飲み会はどうだったのか聞きたい気持ちもあったけれど、わざわざ聞くのも怖かった。
いつもと変わらない大希の様子に、また取り越し苦労だったのだと、これからもこの穏やかな付き合いが続いていくのだと思えた。
モヤモヤしたことは忘れて、信じていこうと決めた。
夜中に目が覚めた。
お水を飲みに起き上がろうとしたら、私と大希の枕の間にあった携帯の通知が目に入った。
大希の携帯だ。
《昨日は楽しかったね!再会は運命だよ。だから今度は2人で会いたいな。またギュッと抱きし》
静かにベッドからすり抜け、トイレに逃げ込んで息を殺して泣いた。
大希は朝まで起きなかった。
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