6

1/1

26人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

6

週明けから驚くほどに仕事が忙しくなった。 月末に加えてインフルエンザで2人休み。 管理部にとってはピンチだけれど、私にはありがたいことだった。 仕事に没頭することで、嫌なことから逃れられる。 設計部の由美もインフルエンザでお休み。 午前中に連絡してみたら、そんなには酷くないようで安心した。 大学の頃の後輩の彼と同棲しているから大丈夫だろう。 営業の川嶋くんは水曜日まで出張で、ランチがひとりなのもよかった。 私の顔を見ればきっと2人とも心配してくれる。 もう少し自分の中で消化しないと、みんなに話せない。 大希からは体調は大丈夫か?と連絡があった。 昨日の朝早くに具合が悪いといって大希の家から帰った。 家まで送ると言われたけれど、断った。 いつものように心配してくる。 いつものように連絡してくる。 いつものようにいつものように。 いつもと違うことをしているくせに。 携帯の通知は途中までしか表示していなかったけれど、私の想像は間違ってはいないと思う。 どういうことか問いただせは早いけれど、そもそも問いただしたくなる事が起こったのが悲しい。 私の‘いつも’はどんな感じだったっけ。 大希との楽しい日々が遥か昔のことのようになっていく。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加