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週明けから驚くほどに仕事が忙しくなった。
月末に加えてインフルエンザで2人休み。
管理部にとってはピンチだけれど、私にはありがたいことだった。
仕事に没頭することで、嫌なことから逃れられる。
設計部の由美もインフルエンザでお休み。
午前中に連絡してみたら、そんなには酷くないようで安心した。
大学の頃の後輩の彼と同棲しているから大丈夫だろう。
営業の川嶋くんは水曜日まで出張で、ランチがひとりなのもよかった。
私の顔を見ればきっと2人とも心配してくれる。
もう少し自分の中で消化しないと、みんなに話せない。
大希からは体調は大丈夫か?と連絡があった。
昨日の朝早くに具合が悪いといって大希の家から帰った。
家まで送ると言われたけれど、断った。
いつものように心配してくる。
いつものように連絡してくる。
いつものようにいつものように。
いつもと違うことをしているくせに。
携帯の通知は途中までしか表示していなかったけれど、私の想像は間違ってはいないと思う。
どういうことか問いただせは早いけれど、そもそも問いただしたくなる事が起こったのが悲しい。
私の‘いつも’はどんな感じだったっけ。
大希との楽しい日々が遥か昔のことのようになっていく。
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