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『はぁ?』
私の話を聞いて、由美が眉毛を吊り上げて怒りを露わに言った。
木曜日、由美がインフルエンザから復帰、川嶋くんも出張から帰ってきて、久しぶりに3人でランチしている。
『そんな通知、途中まででも何があったかわかるよね。』
『うん…やっぱりそうだよね…。』
川嶋くんもあじフライを頬張りながら『黒ですね。』と後押しした。
『でも、どうして田中さんはそんなに普通にしてるの?』
由美が腕を組んでまだ怒りの表情のままで言う。
気持ちに寄り添ってくれるのが嬉しい。
『大希はまだただの友達だと思おうとしてるんだと想う。
抱きしめたとしていても、酔った勢いでの友達とのおふざけだと。
映画をキャンセルしてきた電話のときはソワソワしてたけど、大希から彼女に向かっていったとは思わない。
…思いたくないだけかな…。
ネイリストの彼女の気持ちが大希にまっしぐらで…それを受けて大希の気持ちがどうなったかは…私にはわからない。』
『それで貴子はどうしたいの?』
今度は眉毛を下げながら心配そうにしている、
『一緒に怒ってくれてありがとうね。
‘もうだめかな’と‘まだ好きだな’で揺れ動いているよ…。
《再会は運命》って言われると、そんなの敵うわけがないと思うし。
中学、高校くらいって人生で一番キラキラしてる時期じゃない?
私達の5年間なんて価値が無いように思えてしまう。
その頃の大希を私は知らないし。』
しばらく黙って聞いていた川嶋くんが話し出した。
『そんなの関係なくない?
大事なのは今でしょ。
じゃあ先輩も学生時代の元彼や初恋の人と再会したら同じことするの?』
『…しない。
もし仮に揺れたとしたら、大希とのケジメをつけてから…。』
『でしょ?
そんなのどんなにキラキラした思い出だろうが、ただの不誠実だよ。
俺もどんなに酔ったって彼女以外は抱きしめないよ。』
川嶋くんに目を覚まさせられる。
『ありきたりの言葉だけど…川嶋くんの彼女は幸せだね。』
由美が手をパン!と叩いた。
『とりあえず気晴らしに明日飲みに行こう!
仕事も大変だったよね?
私も病み上がりでストレス溜まってるし。
川嶋も暇でしょ?』
『酷いなー決めつけて。
暇だけど。』
優しい2人に囲まれてこみ上げる涙をぐっと堪えた。
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