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女王様
わたしたち四人は魔塔にたどり着くなり正装させられて、王宮へと連れてこられた。
リッドは襟の高い刺繍のたくさん入った服で、重そうなボタンをたくさん付けていた。全体的に薄いグレーでまとめられていて、よく似合っている。
わたしはと言えば、真っ黒なワンピースで、背中は真紅のリボンで編み上げられている。リボンの先は大輪のバラの花の形に結ばれていて、鏡越しに何度も見てしまうほど素敵だった。髪は背中が見えるように、緩く編んで左胸に垂らしてある。
ロウンとハルジオンはそれぞれ紺と白の刺繍とボタンたっぷりの服だった。ふたりは着慣れている風で、白い手袋をはめる姿が様になっている。
それらの仕度は、魔塔の中で待ち構えていた服飾専門の魔法師だという人があっという間に着付けてくれたものだ。
王宮は魔塔を取り囲む街フォークハウルの、さらに外側にある王都の中心部にある。
移動魔法は使わず、大きな馬車での移動だった。
馬車の中から見た街並みは、絵本の中のように赤や青に塗られたかわいい家が立ち並んでいた。
あの中のどれかがこれから暮らす家なのかなと思うと、少し心が躍った。もちろんガネーシャがいればもっと良かっただろうけど。
きれいに整備された道を馬は軽やかに進んでいき、やがて大きな門をくぐると、その向こうにお城が見えた。
広い庭園は森とは全然違って自然がまるで不自然に感じるほど木々は四角くや丸に刈り込まれている。
お城にたどり着くまでにもいくつもの建物があって、そのすべてが見たこともない大きさで、それだけの石をどこから運んできたのか不思議に思うほどだった。
わたしとリッドはロウンたちから挨拶の仕方を教わり、女王陛下が玉座にお出ましになるのを足が痺れるのを我慢しながら待った。
二時間後、顔の長さの倍はありそうな王冠を頭に乗せたガネーシャくらいの年齢の人がゆっくりと入ってきた。その後ろに白いローブのおじいさんが三人付き従っている。
「女王陛下に拝謁いたします。新しい魔法士候補のアンとリッドを連れて参りました」
わたしたちは床に片膝を着いて頭を下げ、女王陛下のお言葉を待った。
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