招待状

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ガネーシャはいろんなことを教えてくれるし、たくさんの本も与えてくれた。 わたしはきっとここで一生を過ごすはず。だから将来は本を作ろうと決めている。まだ十三歳のわたしには無理かもしれないけど、おとなになれば作れると思っている。 ここにいてできる仕事はそれくらいだし、わたしは物語を考えるのも好きだ。 でもいざ物語を書こうとすると、やっぱり自信がなくなる。 だってわたしの知っている世界はこの家と、周りの森、それに本で読んだ世界だけだから。 きっと何を書いても薄っぺらいものにしかならないんじゃないかって、最近はよく考えてしまう。 机の上に広げたノートを閉じて、二階にある自分の部屋から一階の居間へと降りた。 一階にある暖炉は台所と居間を一度に暖めることができる優れもので、今も部屋全体を温めていた。 二階に続くドアを開けておけば、すぐに家中が温まる。 居間にある本はもう全て読みつくしてしまっていた。その中でもお気に入りの一冊を選んで椅子に座る。 ガネーシャも同じように本を読んでいる。白髪の混じる黒髪は頭の上でお団子にまとめられている。最近は目尻の皺も増えてきた気がする。
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