魔法士見習いたち

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ひとり、ふたりと講堂を出ていく中、わたしはその人に近づいていった。 「新しく入った魔法士見習いね?」 金色の巻き毛の女の子はわたしからチューターを隠すように間に立ち、腕を組んでわたしを見ながらそう言った。 その不自然な動きに一瞬戸惑ったものの、せっかく話しかけてくれたのだからこの機会を逃す手はない。 「わたしはアン。あの子はリッドよ。あなたは?」 「カロルドワーズ公爵家の三女ミリアーナよ。わたしはここに最年少で入ったの」 ミリアーナはツンと顎をそらして、最年少という言葉を強調するように言った。 「寂しいでしょうね」 小さなうちから親元を離れてここで暮らしていることを想像してそう言うと、ミリアーナは目を吊り上げた。 「は? 寂しいわけないでしょ! わたしは忙しいのよ」 「イタズラするのに?」 「誰がイタズラなんて。歓迎の挨拶よ!」 よく分からない。話が噛み合わないのを感じて、わたしはミリアーナから彼女の後ろでうつむいているチューターの青年に目を移した。 「こんにちは」 とりあえず声をかけてみたけれど、微かにうなずいただけでこちらを見ることもしない。恥ずかしがりやなのだろうか。 「タネンはわたしとしか話さないの。気安く声をかけないでくださる?」 ミリアーナがタネンと呼んだ青年はますますうつむき、長い前髪に隠れて顔はほとんど見えない。 でも、一瞬目が合ったような気がした。 タネンの髪は真っ黒で、肌は驚くほど白い。 ミリアーナがタネンと並ぶと身長差がかなりある。それなのに、まるでミリアーナの方がタネンを守っているように見える。 「ミリアーナ、わたしここに来たばかりだからいろいろ教えて欲しいんだけど」 「言ったでしょ、わたしは忙しいのよ。でも仕方ないわね。あなたのチューターはハルジオン様でしょ? ハルジオン様の手を煩わせるくらいならわたしが相手をしてあげるわ」 「ハルジオンを知ってるの?」
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