魔法士見習いたち

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わたしたちの行ける範囲は高い塀で囲まれている。唯一の門には門番がいて、女王陛下の許可がないものは出入りできない。 塀に沿っていくつものかわいいお店が立ち並んでいる。 甘い匂いのするお菓子屋さん、様々な雑貨を売る店、貸本屋に魔道具の店もある。 店が途切れると広場があり、ハリアールの生徒たちの姿がちらほらと見えた。 小さな火の玉が上がったり、旋風が起きたりしているのを見ると、魔法の練習をしているようだ。 リッドがその様子を見ながら、彼らから距離をとって立ち止まった。 「ロウンが言ってたんだけど、アンはここではあまり魔法を使わない方がいい」 「どうして?」 「敵を作るからって」 「敵?」 「俺、何となくわかる。アンとあいつらは全然違う」 「どう違うの?」 「うまく言えないけど、狼と犬? 俺たちにしてみたら狼と犬は全然違う。でも人間から見ると似てるんだろう? そんな感じだよ」 リッドの例えはよく分からなかったけれど、リッドなりに感じるものがあるのかもしれない。みんなと違うって言われるのはあまり良い気持ちじゃないけれど、心配してくれているのがわかったから、素直にうなずいた。 「気をつけるわ」 「俺も、アンのこと守るから」 リッドは真剣な顔でそう言うと、わたしの手を握って歩き出した。 「どこ行くの?」 「鳥がいる」 リッドはわたしがミリアーナに尋ねたことを覚えていてくれたようだ。わたしたちは足早に広場を横切った。 リッドが連れていってくれたのは、広場のずっと奥で、そこには一本の大きな楡の木が立っていた。
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