第二章 楽しいワルイコト

3/21
1479人が本棚に入れています
本棚に追加
/260ページ
「冗談じゃないんですって! 本当に、本当に、ほんとーに、殺されるかもしれないんですよ!」 過去、私に危害を加えようとした人間は、私設ボディーガードによって瀕死の目に遭わされた。 父から見れば私を誘拐し、犯した男なんて生かしておけるはずがない。 「大丈夫だから心配するな」 私の心配をよそに、コマキさんはガシガシ乱雑に私の髪を撫でてきた。 「ちょっと!」 怒って彼の手を掴んだが、彼は全然気にしていないようだった。 「それより身体、大丈夫か? 昨日はだいぶ、無理をさせてしまったからな」 少しだけ心配そうに彼の眉が寄る。 それで昨晩のあれやこれやを思い出し、一気に顔が熱くなっていった。 「えっ、あっ、……大丈夫、です」 恥ずかしくて、最後のほうは消えていく。 「なら、いいが」 ようやく私がおとなしくなったからか、彼が軽く唇を重ねてくる。 それはまるで好きな人と過ごす翌朝のようで、ますます顔が熱くなっていった。 「とりあえず、大丈夫だからシャワー浴びてこい? 小汚い姿で帰ったら、ますますご両親が心配するだろ?」
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!