第二章 楽しいワルイコト

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どういう意味か一瞬考えて、私も拳を作ってそれに付き合わせた。 コマキさんは玄関まで私を送り、タクシーに乗せてくれた。 「なにからなにまで、本当にすみません」 「いいって。 俺は茜の、ささやかな願いを叶えてやりたかっただけなんだから」 慰めるように軽く、彼が私の頭をぽんぽんと叩く。 「とっても楽しい一日でした。 それに……無理なお願いまで聞いてくださって。 本当にありがとうございました」 精一杯の気持ちで彼へ頭を下げた。 顔を上げると眼鏡越しに、コマキさんと目があう。 「だからいいって。 俺は茜を愛しているからな」 悪戯っぽく彼が片目をつぶってみせる。 それで頬が熱くなった。 「それじゃあ……」 「茜」 コマキさんが上半身をタクシーの車内に入れてくる。 そのまま、私の耳もとへと口を寄せた。 「……きっとまた会える」 「え……?」 小さく呟き離れていく顔を、ただ見つめる。 「コマキ、さん……?」 「運転手さん、出してください」
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