第二章 楽しいワルイコト

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……その顔に。 胸がとくんと甘く、鼓動した。 そのあとはこれからについて相談した。 「入籍と式はまだ先だが、とりあえず俺の家に移ってきたらいい」 「えっと……。 結婚が決まっているとはいえ、嫁入り前の娘が男性と同棲だなんて、許されるんでしょうか」 なぜか炯さんは、カップを持ち上げたまま固まっている。 「……それ、本気で言ってるのか?」 「え?」 僅かな間のあと、眼鏡の奥で何度か瞬きして彼はカップをソーサーに戻した。 私としては至極当たり前の意見だったが、なにか変だったんだろうか。 「……はぁーっ」 まるで気が抜けたかのように炯さんは大きなため息をついた。 「あんな大胆な行動ができるかと思えば、これだもんな。 まったく」 ちらりと彼の視線がこちらを向く。 それは呆れているようでも喜んでいるようでもあった。 「あのさ」 「はい」 次になにを言われるのかわからなくて、どきどきしながら続く言葉を待つ。 「もう俺ら、寝た仲だろ? いまさらじゃないか」
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