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……その顔に。
胸がとくんと甘く、鼓動した。
そのあとはこれからについて相談した。
「入籍と式はまだ先だが、とりあえず俺の家に移ってきたらいい」
「えっと……。
結婚が決まっているとはいえ、嫁入り前の娘が男性と同棲だなんて、許されるんでしょうか」
なぜか炯さんは、カップを持ち上げたまま固まっている。
「……それ、本気で言ってるのか?」
「え?」
僅かな間のあと、眼鏡の奥で何度か瞬きして彼はカップをソーサーに戻した。
私としては至極当たり前の意見だったが、なにか変だったんだろうか。
「……はぁーっ」
まるで気が抜けたかのように炯さんは大きなため息をついた。
「あんな大胆な行動ができるかと思えば、これだもんな。
まったく」
ちらりと彼の視線がこちらを向く。
それは呆れているようでも喜んでいるようでもあった。
「あのさ」
「はい」
次になにを言われるのかわからなくて、どきどきしながら続く言葉を待つ。
「もう俺ら、寝た仲だろ?
いまさらじゃないか」
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