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プロローグ
竜の卵を「孵化」させるか「砕く」か――。
それが問題だ。
正しき竜は人間に魔法を授けてくれる。生まれ育てた竜からは、尊き魔法と恩恵を得られる。
けれど、竜の卵には「悪魔」が寄生し擬態していることがある。
悪魔は孵化すれば殺せない。
ひとたび邪悪な悪魔が生まれれば、世界に新たな災いをまき散らす。
呪い、疫病、災害、争い……。
悪魔が寄生したニセの竜卵を見定めて、砕かねばならない。しかし悪魔は狡猾だ。卵の中から「自分は竜だよ」と嘘をつく。
だから「竜卵鑑定士」がいる。
竜卵の真贋を見分け、本物の竜を孵化させ、悪魔の嘘を見抜く。特別な魔法使い。
王立ヒヨランド魔法学校には「卵の声」を聞き、時に対話できる特別な能力を持った少年少女たちが集められていた。
成功すれば栄誉と魔法の加護を。
失敗すれば悪魔に命を奪われる。
そんな命がけの竜卵鑑定士になるために――。
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