第一話「彼等」

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殴られると思って、つい身構えた。 しかし、康介はそこに黙って立っている。そして手を差し出した。 「はい?」 「飴」 「………え…あ…はい」 チャンヒョクも反応に困りつつ、飴玉を彼の手のひらにのせた。彼は飴を口にいれると、その場に座った。チャンヒョクも座る。 「お前、俺のことが嫌いなんだな」 チャンヒョクはぼやくような言い方で聞いた。 「ああ」 「最悪だな」 しばらく沈黙が流れる。 「俺に構うな。」 康介の言葉は厳しくとも、声は穏やかだった。宥めるような、諭すような言い方だ。でもチャンヒョクは頷かなかった。 「俺は自分が仲良くしたいヤツと仲良くする。」 「………」 「お前は、すげぇ嫌な奴だけど… でも直感でいってんだよな、俺の頭が。」 「は?」 「『コイツは最高だぜ』って頭がいってんの」 康介は飴をかじってしまい、立ち上がった。チャンヒョクをしばらく見下ろしたあと、そのまま部屋の方に戻っていった。
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