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殴られると思って、つい身構えた。
しかし、康介はそこに黙って立っている。そして手を差し出した。
「はい?」
「飴」
「………え…あ…はい」
チャンヒョクも反応に困りつつ、飴玉を彼の手のひらにのせた。彼は飴を口にいれると、その場に座った。チャンヒョクも座る。
「お前、俺のことが嫌いなんだな」
チャンヒョクはぼやくような言い方で聞いた。
「ああ」
「最悪だな」
しばらく沈黙が流れる。
「俺に構うな。」
康介の言葉は厳しくとも、声は穏やかだった。宥めるような、諭すような言い方だ。でもチャンヒョクは頷かなかった。
「俺は自分が仲良くしたいヤツと仲良くする。」
「………」
「お前は、すげぇ嫌な奴だけど…
でも直感でいってんだよな、俺の頭が。」
「は?」
「『コイツは最高だぜ』って頭がいってんの」
康介は飴をかじってしまい、立ち上がった。チャンヒョクをしばらく見下ろしたあと、そのまま部屋の方に戻っていった。
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