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次の日の作業時間。
チャンヒョクはルームメイトに掴みかかったことで、仲間たちと気まずかった。まだ謝ることも出来ていないのが、彼自身 歯がゆい。
作業室は長机が横に3つ並び、それが10列ある。彼のテーブルで作業しているルームメイトは何も喋らずに手元に集中している。
反対側の長机では、康介が隅の方でどんどん作り上げている。チャンヒョクはいつまでも集中できない。
彼はまた箱を持って、康介のほうへむかった。また仲間たちが彼を見ている。
「なあ」
康介は手を止めて、チャンヒョクを見上げた。攻撃的な態度ではなかった。
「教えてくれ。上手くいかねー」
「……」
「飴やる」
ダメ元で飴を出すと、康介はまた飴を受け取り、隣に座るようにあごでしゃくった。
仲間たちも後ろの方で顔を見合わせているし、ルームメイトがこっちを見ているのもわかった。
「お前はプラスとマイナスを逆にしてるから、不発なんだよ。」
ぶっきらぼうな言い方をしながら、はんだごてを使って配線を溶かしていく。分断した配線を繫げ直すように言われて、チャンヒョクは言われたとおりにした。
ようやく点火装置に信号反応があった。チャンヒョクは嬉しさのあまり「ついた!ついたぞー!」と叫んだ。
怒鳴り返す先輩の声も気にせずに、気まずかった仲間のほうにもルームメイトにも見せびらかしに言った。それを拍子に気まずい空気が和んで、自然に打ち解けることが出来ていた。
馬鹿みたいに喜ぶチャンヒョクを康介は鬱陶しそうに見ながら、また口の中で飴を噛み砕いた。
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