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康介の部屋の前で立ち止まる。
ノックする手前で躊躇い、やはり叩こう、いややめようを繰り返した。
5分も躊躇った結果、ノックすることに決めた。
だが応答がない。
中からテレビの音が聞こえる。
康介も軍舎にいるはずなのに。
「おい。俺だ。いるんだろ」
ノックを続けても反応がない。
苛ついたチャンヒョクは勢いよくドアを蹴破った。ドアは口金から外れて、そのまま倒れた。タンスを薙ぎ倒して、寝台にいた康介を起こした。
ぼんやりしている康介はゆっくり立ち上がって、ドアのほうに来た。
「お前、何して…」
チャンヒョクは康介の声を遮って、彼の胸ぐらを掴んで部屋から引きずり出した。
「何すんだよ」
チャンヒョクは昇降口まで連れて行くと、自分のオンボロのバイクの後ろを指差した。
「は?」
「乗れって言ってんだ!!!」
いきなり怒鳴られると、康介でもうろたえた。言われるがままに後ろに跨ると、チャンヒョクはバイクを発進させた。
威勢とは裏腹に、スピードは出ない。
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