第一話「彼等」

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チャンヒョクが康介を連れてきた場所は、子供の声が聞こえる道場の前だった。門こそ閉ざされている。 「ここはオレの実家だ」 「…は?」 康介は突然のことに聞き返した。チャンヒョクは門の方を見ている。 「俺は確かにここの次男だ。 ここで生まれて、ここで育った。 でもなぁ…ここには入れない。 入れないんじゃない…。 入らないんだ。」 康介は話が理解できずに、チャンヒョクをじっと見ていた。いつもふざけてばかりのチャンヒョクが初めて見せた顔だった。 本当は繊細で、傷つきやすい。 悲しくて仕方ない時がある。 でも気丈に振る舞わないと、自分でいられなくなる。 みんなの描く「俺」でいられない。 「意味ないじゃんか。 家族がいたって… 生んでくれたって… 愛してくれなきゃ意味ないじゃんなぁ」 チャンヒョクの顔がほんのり赤くなり、目元から涙が溢れ出した。康介は面食らっていた。
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