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「俺は親がいないから、お前のことは分かってやれない。」
「いいよ。わかってほしいなんて思ってない。」
チャンヒョクはすぐに納得した。
「じゃあ、なんで俺をあの場所に?」
康介は辻褄が合わないように思って確認した。
「俺の弱点がここにあるって教えたかったんだよ」
「弱点?」
「そう。
誰にも話したことがないんだ。」
チャンヒョクは家族の話になっても、はぐらかしたり、それらしいことを言って逃れてきた。康介にだけ、すべてを見せた。
「俺はお前の過去に興味ねーんだ。
だって俺等は未来に向かってんだぜ」
康介はまた面食らって、チャンヒョクをまじまじと見た。
「それに、
昔のお前なんか可愛くねーに決まってる」
「なんだ、それ」
康介は呆れて首をかしげた。
「俺は手がかかる。」
「もう、この何週間かで分かったよ。」
「そうか」
「ああ。
良かったな。記念すべき、親友だ」
「親友じゃねぇ。
顔見知りだ。」
「なんだよ、それ。
友達でもねーじゃん。」
わずかに綻んだ康介の顔を見て、チャンヒョクもつられて微笑んだ。
体の底から湧き上がる未来へのワクワク。
これから躍動するであろう自分の明日の明日。
チャンヒョクも康介も、
初めて 明日が来るのを胸を躍らせて待っている。
continue…
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