第一話「彼等」

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「俺は親がいないから、お前のことは分かってやれない。」 「いいよ。わかってほしいなんて思ってない。」 チャンヒョクはすぐに納得した。 「じゃあ、なんで俺をあの場所に?」 康介は辻褄が合わないように思って確認した。 「俺の弱点がここにあるって教えたかったんだよ」 「弱点?」 「そう。 誰にも話したことがないんだ。」 チャンヒョクは家族の話になっても、はぐらかしたり、それらしいことを言って逃れてきた。康介にだけ、すべてを見せた。 「俺はお前の過去に興味ねーんだ。 だって俺等は未来に向かってんだぜ」 康介はまた面食らって、チャンヒョクをまじまじと見た。 「それに、 昔のお前なんか可愛くねーに決まってる」 「なんだ、それ」 康介は呆れて首をかしげた。 「俺は手がかかる。」 「もう、この何週間かで分かったよ。」 「そうか」 「ああ。 良かったな。記念すべき、親友だ」 「親友じゃねぇ。 顔見知りだ。」 「なんだよ、それ。 友達でもねーじゃん。」 わずかに綻んだ康介の顔を見て、チャンヒョクもつられて微笑んだ。 体の底から湧き上がる未来へのワクワク。 これから躍動するであろう自分の明日の明日。 チャンヒョクも康介も、 初めて 明日が来るのを胸を躍らせて待っている。 continue…
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