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彼らが通り過ぎた痕跡を残すように、濡れた足跡が廊下に続いていた。康介は廊下の床をしばらく見つめている。旧館の西側に向かって2人が歩いていくのが見えた。彼らの部屋は西にあるのだ。
逆に康介とチャンヒョクの部屋は東棟にある。先に東棟の方向に向かって歩いていたチャンヒョクだが、康介がついてこないことに気づいた。
「おい、どうした?」
チャンヒョクが彼の背中に声をかける。
康介は西棟のほうへ歩いていたのだ。
「康介?」
チャンヒョクの声に振り向かずに、西棟に向かう康介の足がどんどん速くなる。異変に気づいたチャンヒョクも、康介を追いかけていった。
康介は2人を追いかけて、階段をあがっていく。階段の手前でチャンヒョクは一度見上げ、迷いない康介の目を見た。
(なんだ…)
その時、チャンヒョクもまた廊下を濡らしている彼らの足跡を見つけた。
(まさか…火薬庫まで尾行されていたのか?)
それにしても時系列で考えるとおかしい。
雨が降ってから2人は退却したが、彼らはバイクで移動した。
徒歩だったガヨンとへジョンが、先に昇降口にいるはずがない。
(じゃあ…)
「康介、待てよ!」
チャンヒョクは慌てて彼を呼び止めた。
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