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「だからなんだよ」
あっさり言い返したことをチャンヒョクは後悔した。康介は他人から関心を向けられることを毛嫌いする男である。チャンヒョクにも最初は警戒心をむき出しにした。
歩兵師団の時代に、それで嫌な思いもした。
大して話したこともない連中から、法螺話を流され、周りはあっさり信じて、彼を敬遠した。奴らは馬鹿馬鹿しい話まで信じる。
康介だけは身を持って知っている。
"無関心こそ、人を救う"
「話にならないな」
康介はチャンヒョクは突き放すように言った。自分の失言に気づきながらも、突き放された怒りが勝る。チャンヒョクは「そうかよ」と吐き捨て、そのまま部屋を出ていった。
康介はそれから30分 部屋の中で蹲っていた。雨脚はどんどん強くなる。窓を叩くような雨音がする。
その雨音が彼を呼んでいる。
康介は起き上がると、部屋を飛び出していった。
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