温泉街にて

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「女とも未経験なのか?」 「そうだよ。あれ? 僕、まだ童子なのかな?」  ランドールは誰の中にも入れたことがないと言った。 「そう…なるのか、な?」 「まあ、いいや。童子の方が使える精力強いんだぜ? ほんのちょっとだけどな」  そして身体を起こすとクエンの唇に軽く触れる。 「あ、初の口付けは昔、寝込みを襲われて済んでた。ま、ちゃんと意識して口付けしたのは今回が初だけどよ」 「すまない」 「何が?」 「お前の意識がない時に何度も口付けした」 「蘇生法なんだろ?」 「いや、少年のころのは…」 「え?」 「お前と2人で寝込んだ時に」 「嘘だろ…てっきりリメアだと…。て、いうかお前、そんなに前から僕とこんなことしたかったのか?」 「…お前は女かと思うほどの美少年だったからな」 「今はお前のが綺麗だよな。僕は到底男にしか見えない。あー、なんだよー。じゃあ、僕はホントに女の子とは完全に未経験じゃないか」  悔しそうにクエンの顔を眺める。 「誰か女と…やりたいのか?」 「んー。精力使っちまうとそういう気には全然ならないからなー。お前が精力をくれて、その流れで他の身体を抱くなんて考えらんないしな。でも入れてみたいような気はするんだよな…僕のを咥え込むつもりある?」  クエンはランドールが自分に入れようとするのを想像して、顔を顰めた。きっと受け入れる前に逆転させてしまうだろう。  だが、ランドールは精力を得られるならどちらでも…誰でも良いと言うことだろうか。 「お前が俺に身体を開いたのは、精力が欲しいから、だよな?」 「違うよ。お前と触れ合いたかったからだよ。お前とつながれて、僕、すごく幸せだよ。もう一回、する?」  クエンはその前に魔力を補充しなければなとぼんやり思ったが、その思考は虫の声で妨げられた。 「いい加減、イライザをしまってくれないかねぇ」  ランドールは脱ぎ捨てた旅装束ではなく背嚢から襦袢を出して着込み、扉を開けた。  ニコニコしているイライザがランドールの巾着に消えるのを横目で見ながら、クエンは下履きを履いた。  またいつでも好きな時に…と思うとなんとも言えない幸福感が心を満たすのだった。
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