温泉街にて

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 夢魔に教えられた手順を踏みながらも、性急にランドールの身体を開こうとした。  ランドールはクエンの背中に爪を立てて堪えていたが、ついに耐えられず小さくうめく。 「い、痛い」  クエンは手を止めた。 「ああ、やめるなって、ただ…もっとお手柔らかに頼むよ」  ランドールは荒い息で切なげに呟く。  どれだけ乱暴だったかを思い返しつつ、ゆっくりと馴染ませるように解す。 「ああん、クエン。そこ、そこ気持ちいい」  ビクンと震えて頭をのけぞらせた。 「今のとこ、もっと…」  顔を伺うと涙で目を潤ませて、口付けを求めてくる。  反応のある一点を刺激すると、何度も何度も弾けては合わせた口から歓喜の喘ぎを溢れさせた。  ランドールは唇を貪りながら片手をクエンの首に回して、もう一方でクエンの手を掴み、自分の中から引き出した。  もう少しランドールの中を掻き回していたかったクエンだったが、ランドールの意図に気付かないまま、唇を貪り続けた。  ランドールはクエンのモノを掴み、自分の腰を上げるとクエンの指がほぐしたそこへあてがった。  クエンは両手をランドールの頭の両脇につくとゆっくりと身体を沈めた。  ランドールの身体が逃れようとするように頭上に滑って、唇が離れた。 「い、いった…い…」  ランドールは目をギュッとつむって顔を背けた。涙が溢れている。  クエンはその涙に唇を寄せて、まだ先が分け入ろうとしているだけのモノを止める。 「やめるなっ。いつになっ…、焦らされんのは、辛い…」  ランドールは薄っすら目を開いて横目にクエンを見ながらか細く微笑んだ。 「もっと力を抜け、息を吐くんだ」  ランドールは頷き、クエンは再び押し込む。 「い、痛いって、痛い…、ああ、止めるなっ、お前のが入ってくるの、すごく、凄いイイんだ。早くしろって! あ、ごめん、ごめんよ。許して、痛いのは嫌だ。もっと優しく、ねぇ。いっ、痛いっ、あっ、ああ…」  ランドールはジタバタしながら、それでも両手でクエンの腰を掴んで指先が白くなるほど力強く引き寄せていた。
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