04 悪役令嬢ファミリー

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 翌日たくさんの生地に囲まれた夫人は上機嫌だった。  彼女がデザイナーに描かせた豪華なデザインは、確かに見目麗しいフレイヤ様にはよく似合う。だけどこれは王都で開かれる舞踏会で着るものだ。 「田舎で着るには少し豪華すぎませんか?」 「フレイヤの美しさに負けないドレスにしないと」  このドレスの費用だけで、五年は余裕で田舎暮らしができてしまいそうだ。  私の困っている様子を見て、デザイナーはシンプルなドレスを描いてくれる。それでも普段使いは全くできない物だけど、もしかしたら田舎でも貴族の集まりがあるかもしれない。そんな時には使えるかも、まあいらないけど。  だけど夫人はそのデザイン画を横目で見た途端、激昂しデザイナーから奪い取りビリビリに破り裂いた。 「あなた、二度と来なくていいわ!」  いつかラーシュに鋭い瞳を向けた時のように、デザイナーを睨んでいる。デザイナーは平謝りで申し訳ありませんと繰り返すから 「私がこのようなドレスを希望したのです!」とおさめようとするけれど 「あなたはこんな地味なドレスをフレイヤに着せると言うの!?」とデザイナーに叫んでいる。 「しかし私は王都から離れるわけですし……」 「どうして! どうしてフレイヤが辺境に向かわなくてはいけないの! あなたは王妃になるのよ! 王妃になるために生まれてきた私のかわいいフレイヤ」
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