午前6時

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午前6時

 乗り込んだ渋黒のタクシーが向かったのは一軒のフラワーショップ。高級クラブが点在するこのエリアには、夜間から早朝まで店を開く花屋は多い。  二人にとってお気に入りの真っ白な薔薇。二十八本の束は、あなたの年齢と同じ数。白薔薇の花言葉には、「心からの尊敬、純潔、あなたの色に染まる」そう教えてくれたのもあなただった。 『でもね。本当はもう一つあるんだよ』  私は心でそう呟きながら、運転手に次の目的地を指示した。
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