午前九時

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午前九時

 血まみれの刃物を手に交番へ出頭した。人に発砲したことがないであろう中年の警察官は震える銃口を私に向ける。刃物を投げ捨て両手をあげると直ぐに拘束された。  取調べの際、彼の死を耳に思わず涙が零れた。 「黙秘か! いい加減にしろ!」  胸ぐらを掴む刑事の要望通り、私は初めて口を開いた。 「刑事さん。白薔薇の花言葉ご存知ですか?」 「はぁ? 白薔薇だと」    意味不明な発言を耳に、刑事は更なる睨みをきかせて来た。  事故現場に手向けた花束を思い浮かべ僕はそっと呟く。 「約束を守る」ですよ。  
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