第71話:最終話に向けて・・・

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第71話:最終話に向けて・・・

カンッ!!! 競り合っていた相手の剣が空を舞う。 その瞬間、ボルテの勝利が確定した。 湧き上がる歓声の中、ボルテは客席座るフィガロを見つけ手を振ると、コロシアム内に悲鳴の様な歓声が響き渡った。 ノーザを旅立ち、半年が過ぎボルテの名は、四大陸中に知れ渡る程になっていた。 銀色の髪は、短く後ろを刈上げ、オッドアイの瞳に少しかかる前髪が余計に、左右の色の違いを引き立てていた。 長身の体躯は、フィガロと出会った頃よりも、厚みも増していた。 未だに、止まない歓声に一礼をしボルテはコロシアムを後にした。 「いや~、まさか本当に優勝するとはな! そんなに、あの猫が大事なようだな。」 「・・・・。」 用意されていた控室に入ると、中で寛ぐ獣人の姿があった。 その姿に、一瞬眉をひそめたがすぐに顔をボルテは作った。 「おいおい。オレは、このサウザの王だぞ? その顔はやめろ。」 「・・・はぁ。 で、一体なんの用ですか?この後、表彰式が有るんですよね?」 「ああ、そうだ。 だから、先にお前には約束のモノを持ってきてやったんだよ。」 「!!」 その言葉に、ボルテの尾が一瞬揺れる。 「くっ・・。やっぱ、尾は正直だな。」 「・・・・。」 スンと澄ました顔に戻ったボルテに、王家の封蝋が押された封書が手渡される。 「あーぁ。お前が負けたら、オレのハーレムに加えたのになぁ・・・・って、そんな怖い顔すんなって・・・。冗談だ。オレも、命は惜しいんでな。それに、番に手を出すほど、馬鹿じゃねぇよ。」 「そうですか。それは良かった。」 「ああ、それに今後もノーザとは仲良くさせて貰いたいしな。さっさと着替えてこい。表彰してやる。」 「・・・・、解りました。」 ゆらゆらと尾を揺らしながら、サウザの王は控え室を後にした。
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