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第76話☆
サウザに着いて、直ぐにフィガロの元へ向かうと何故か烈火の如く怒り狂ったネロウに門前払いを喰らい、7日目にして不憫に思ったネロウの妻が市内で出回っている噂を教えてくれたのだった。
はぁぁぁぁぁ・・・。
正直、ボルテの心は限界だった。
離れている間も、忘れる事など無かったフィガロに、もし心変わりをされていたら・・・と思うと、足が重く動かないのだった。
はぁぁぁぁぁぁ・・・・・。
未だ控室で、項垂れる様に座っているボルテの耳に自分を呼ぶ声が届いて居なかった。
はぁぁぁぁぁぁぁ・・・・。
「・・・フィーに会いたい。」
何度目かの溜息と共に出された言葉に、ボルテの背後から返事が返ってくる。
「・・・ボクも・・・ルテに会いたかった。」
「・・・あぁ、会いた過ぎて幻聴が聞こえる・・・。」
けれど、項垂れたままのボルテには、自分に都合の良い幻聴の様に感じていたのだった。
何度となく、「フィーに会いたい」と言っていたボルテの言葉に、控室まで辿りついたフィガロは「ルテにボクも会いたかった」と声を掛けたのだった。
ようやく「会いたい」以外の言葉が出てきたと思たら「幻聴」の言葉にフィガロは、背中に冷たいモノを感じ焦ってボルテの肩を掴んだ。
「・・・幻聴?! ルテ!もしかして、どこかぶつけたりしたの!?!!」
「・・・えっ!?!」
ボンッ!!!
急に背後から、肩を掴まれ油断しきっていたボルテは思わず振り向いた拍子に獣化してした。獣化したボルテの前にフィガロはしゃがみこんだ。
「ル、ルテ!! どこか怪我したのか!?今、幻聴って!!」
狼の姿になった、ボルテをフィガロがペタペタと無事を確かめるように触る。
しっかりと顔を両手で固定され、現状を理解出来てないボルテの瞳は、フィガロの金色を呆然と見つめていた。
「ねぇ、ルテ? ルテ!聞こえてる??」
そう自分の名を紡ぐ、淡い桃色の唇にボルテはチュッと口をくっつけた。
「ル、ルテ???」
・・・フィーだ。目の前にフィーがいる。
そう理解したら、ボルテは止まらなかった。
口をくっつけるだけでは止まらず、気が付けばペロペロとフィガロの小さな口一杯に舌を滑らせ咥内を味わう様に舐めていた。
「ん・・・ちょ・・・る、ルテ・・・。」
いつの間にか、フィガロの両肩は上からボルテの前足で固定されていた。そのままフィガロの上に被せ乗るようにして、ボルテは身体を押し付けていた。
「ル・・ルテ・・・あっ・・ちょ・・・っと・・・待っ・・て、あっ・・・。」
フィガロが、ボルテを呼ぶ為に口を開けば、ひたすら中へと入り込もうとボルテの舌が動く。飲み込む事が出来なかった唾液が、フィガロの口から零れるとボルテの舌がそれを舐めとる。だんだんと繰り返される行為の中で、ゴリゴリッとボルテの硬いモノを擦り付けられている事に気が付いてしまった。
「る、ルテ!! ちょ・・・まって・・・あっ・・・んんん!!」
擦り付けるボルテの腰を止めようと、両腕を伸ばしたが逆に引き寄せる結果になりフィガロ自身も刺激されてしまう。口も舌もボルテに弄られながら、激しく腰を振られる。射精のタイミングが来たのか、ボルテは何度か大きく腰を振り終わるのと同時にフィガロの下腹部がじわりと温かく湿った。
「はぁ・・はぁ・・・。・・・・・はっ・・・えっ?????」
荒かった呼吸が落ち着いてくると同時に、ボルテの獣化が解けていく。
むわっと臭う青臭さと、恋焦がれた匂いにボルテの思考は纏まらない。だが、自分の下で羞恥に肌を染めながら、瞳をとじている姿にボルテは持ち前の運動神経の良さを発揮し、フィガロの上から飛び退いた。そしてそのまま、膝を折り、頭を床へと擦りつけた。
「ご、ごめ”ん”な”ざぃぃぃぃぃ・・・・・・・!!!!!!!」
「・・・えっ・・・ちょ・・・る、ルテ!?」
どっしりと感じていた重みが無くなったと思い、身体を起こすとべったりとボルテのモノが服にかけられ。ぐちゃりと、自身の下履きの湿りをフィガロは感じた。その事に、羞恥を感じたが不快感は無かったのだが、それよりも先に目の前で、床と同化しそうになっているボルテに、フィガロは段々と笑いがこみあげてしまった。
「ちょ・・・ルテ。ふ、っふ・・・お願いだがら、顔を上げて?」
項垂れていたボルテの尾が、フィガロの声にピクリと反応し、「ふふ」と笑い漏れる音に釣られる様に左右に揺れ始める。それでも、中々顔を上げないボルテの様子に、フィガロも耐えきれなくなって、声を出して笑ってしまった。
「あははは!! ちょっと、もう! ルテってば、いい加減顔を見せてよ!!」
「・・・フィー、怒ってない?」
恐る恐る顔を上げたボルテの耳はペショっとしているのに、後ろに見える尾は久々に見たフィガロの笑顔に、嬉しさが隠せないのかブンブンと揺れていた。
「怒ってないよ。だから、服着て帰ろうか?」
「!! フィー!!」
フィガロの言葉に、ボルテが抱きついて来ようとした所を、思わずフィガロの右手がボルテの頭を押さえた。
「・・・っえ。な、なんで・・・?」
「・・・ご、ゴメン。ボクの服、汚れてるから。思わず手が出ちゃった・・・。」
「・・・・あ~・・・・。ご、ごめんなさい。」
フィガロの服の惨劇を目の当たりした、ボルテの視線は逸らされ、予備で用意していた着替えを鞄から出してフィガロに渡したのだった。
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