始まり

1/1
135人が本棚に入れています
本棚に追加
/77ページ

始まり

数ある星の中にある、この星。 アニマは、大きく4つの大陸で構成されている、獣人の世界。 アニマには、獣人の他に、生物は魔石を核に生きる魔獣がいる。 魔獣は、大陸全土に周期的に大量発生する害魔と、そうではないモノがいる。 アニマは遥か昔 隕石の衝突と、害魔獣の大量発生が重なり、別惑星から異世界人が転移してきた。 4大陸では、転移者が転移した 大陸が害魔獣討伐の主導を握り、転移者は獣人を率いり討伐を指揮した。 それは、大陸の気候に転移者が適応出来ずに命を落したり、転移者を獣人が惨殺した結果、害魔獣に多くのアニマの獣人が犠牲になった歴史から故に、獣人は転移者を丁重に扱い、尊重する様になり、転移者もまた、自己の世界へ戻る為に、大量の害魔獣の魔石を必要とする事から、獣人達に協力的だった。 転移者の中には、そのままアニマに住みつく者や、転移出来ない者もいた。 転移者が住みついた大陸は、転移者の知識、技術により、大きく発展するのと共に、その大陸独自の迷信や言い伝えが多く残る様になった。 その時代より、魔獣大発生にナンバリングが着く様になり、害魔獣の発生周期の研究も盛んになった。大発生の周期は、短くて 5 年。長くて 100 年。 第三次魔獣大発生までは、およそ 100 年間隔だったが、四次~六次は 5年周期と短期間で起こる様になっていた。 その為、アニマ全土で新たな転移者の獣人達は出現を心待ちにしていた。 そんな中、転移者の影響を濃く受けている、西大陸イース。 ここに住む一部の獣人にとっては、転移者の持ち込んだ教えは獣人同士に差別を生む事となった。 アニマの西部分に位置する大陸。 イースは、象の獣人が統治をし、気候が周期ごとに穏やかに変化し、獣人にも転移者にも住みやすく、また気性の穏やかな獣人が多く住んでいた。 それ故に、転移者が最終的な住処へ選ぶ事が多かった。 その恩恵として、イースは4大陸内で、最も生活レベルが高く。家畜魔獣の改良による小型犬愛玩魔獣をペットとして飼育するのが、イースに住む獣人の階級ステータスだった。 そんなイースでは、愛玩魔獣よりも低い扱いを受けているのが、家猫獣人だった。 4大陸内に、猫系獣人の統治する大陸が2つ。イースからはどちらも遠かった。 イースの隣に位置する、ノーザは大陸随一の広さを持つが、転移者にとっては耐え難い寒さと険しさだった。大陸の半分が長期間雪に覆われ、山岳地帯がイースとの境に広がり、大陸内を移動する移民獣人は少なく、アニマ最南端に位置するサウザは年中暖かく過ごしやすい気候だったが、サウザへ移動するには、東のウエスを通らなければいけなかった。ウエスは、乾季雨季がありノーザに次ぐ広さの大陸で、その半分が砂地だった。 また、統治している獣人も転移者には恐怖の対象だった。 イースの統治者が、象なのに対し、ノーザは狼、ウエスは、獅子。サウザは虎の獣人が統治していた。 猫獣人の多さはサウザが大陸の半数を占め、次にウエス。この 4大陸の 95%がこの 2 大陸に住んでいた。遥か昔は、4 大陸どこでも猫獣人の姿を見る事があったが、何代か続けて猫獣人を見て倒れる転移者が転移してきたのだった。その転移者は特に黒猫獣人を「魔女の使い」と罵り、その時代の統治者へ協力の対価として、猫獣人の排除を願った。それは、イースに住む獣人達に差別を産む様になっていった。今では、イースでの猫獣人の扱いは、愛玩魔獣よりも低い。 それでも、今代のイース統治者の側妃にサウザより娶った猫獣人がおり、高位獣人内に表立っての差別は無くなりつつあった。 高位獣人とは、大陸の統治に携わるか、それに準ずる職に着いている少数の獣人の事で、大陸の半数以上は未だに差別が根付いていた。それでも、イースにも僅かだが、猫獣人は生活していた。 フィガロ達も、イースに住む猫系獣人の一家だった。 狩猟猫獣人だった父は、大陸警備隊に所属し、家猫獣人の母。フィガロはそこの2番目の家猫獣人。1番目の兄と3番目の弟は、狩猟猫獣人。末妹も幼いながらに、狩猟猫の素質を強く受け継いだ獣人だった。 フィガロだけが、家猫獣人の母の血を強く受け継ぎ、イースでは最も忌嫌われる、漆黒の色をもつ、黒猫の家猫獣人のだった。 狩猟猫獣人は、狩猟能力が高く、多くが魔獣討伐や家畜魔獣の飼育などを生業にしていた。だが、家猫獣人は、狩をする能力よりも、繁殖に優れ、獣本来の姿に自在になることが可能だった。その為、サウザでは家猫を番にし、繁殖に優れた獣のまま過ごさせる事をステータスとしていた時期もあった。その事も、イースでは差別の要因となった。 元来、獣人は優れた力をもつモノだけが、獣化することが可能であり、4大陸の統治者たちも自己意思で獣化することができるのだが、過去の魔獣大発生時に、生命の危機に陥った獣人たちが自我を忘れ、本能のまま獣化した歴史から、獣化する事は自己コントロールのできない未熟者。故に、完全な獣化は、恥ずべき行為とイースで転移者が説いてまわり、またウエス、サウザに力をつけさせたく無かったイースの統治者が後押しをした、その為、変幻自在の家猫獣人への差別は酷く根深くなった。 アニマの獣人達の多くは、体毛、顔、耳、両手足、尻尾等に主格となる資質が現れ、転移者に近い人の外見程、獣人としての能力は低かった。 また、色々な種族が混ざれば混ざる程に、主格となる資質が少なくなり、色味が混ざる様に現れた。また、色々な種族が交われば混ざる程、繁殖能力は低くなる為、性別は関係なく番、高位獣人である程、獣本来の資質が強い者を後継者として育てた。その為、子の居ない番たちは、どちらかの種族と同じ獣人の子を迎入れ育てるのが一般的だった。けれど、イースでは、猫獣人の里親の成り手は無かった。 そんなイースの外れにある、小さな町で5年前から兄妹たちと暮らしていた。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!