第一章

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最初はびっくりしたが、特に何も思う事はなく自然と受け入れた。 元々そういうのが好きで、見たりしていて自分でも描きたいと思って描いたんだと言っていた。 リアルの恋愛対象は女性だけど、趣味としてBLを楽しんでいる。 漫画だけじゃなく、アニメやゲームもしていて一緒に何度かやった事がある。 友人にとって夢であり天職なんだと自分でも思う。 「ねぇ覚えてる?高校生の時このゲーム一緒にやったよね」 「あー、そういえば…」 「リメイクされたみたいだから一緒にやろう!」 何のゲームか分からずに来たが、BLゲームという事は分かっている。 ゲーム機をテレビにセットして、大画面でゲームをする事になった。 あまりゲームをやらないが、友人とこうしてゲームをするのは楽しい。 BLに詳しくはなったが、好きかと言われたら熱中するほどではないから普通だ。 ゲームが始まると慣れた操作で、ストーリーを進めていく。 すると、だんだんと内容を思い出してきて懐かしい気分になる。 ゲームは友人と交互にやるのが決まりで、恋愛シミュレーションゲームだからいつも先にハッピーエンドを迎えない。 適当にしているわけではないが、どちらかがキャラクターの気持ちを理解していないんだろう。 きっと自分なんだろうな、と思いながら自分の番が来た。 ゲームを進めると恋愛の邪魔をする当て馬と呼ばれるキャラクターが出てきた。 性格悪いし、主人公に言い寄って攻略キャラクターに誤解されて嫌な奴だなと当時も思っていた。 「なんか当て馬って必要あるのか分からないな」 「そう?」 「攻略対象でもないのに、恋愛の邪魔して主人公が可哀想じゃないのか?」 「僕は当て馬も必要だと思うよ、だって恋愛に欠かせない存在だから!」 「恋愛に…」 「そうだよ、決して結ばれないからこそ、恋愛に奥手なキャラも彼のおかげで主人公に告白出来たりするし!」 確かに友人の言っている事は納得出来るものがあった。 言い寄っているが、手を出す前に誰かが助けにくる。 当て馬は当て馬でゲームではないところで幸せになっていると友人は適当な事を言っていた。
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