10人が本棚に入れています
本棚に追加
1.ご主人様の命令
「いい? そこで上半身裸になって四つん這いになって「わん!」って鳴くのよ」
僕は今、渋谷のハチ公の前にいる。スマホで通話しているのは僕のご主人様の翠だ。翠は要するに僕の恋人なわけなんだけど、僕と翠の間には主従関係がある。
「そ……そんな事出来ませんご主人様。僕、恥ずかしい……」
僕は翠に抵抗を試みる。これもプレイの一環かと問われればそれは否定出来ないけど、こんなに大勢の人間が行き交う場所でそんな事を出来るわけがない。という、僕の理性が働いている事も否めない。
「やるのよハル。あなたは私の従順な犬よ。私の言う事が聞けないの? それとも、ご褒美が要らないのかしら……?」
僕は生唾をごくりと飲んだ。
翠からのご褒美……喉から手が出るほど欲しいものだ。あの時の翠の妖艶さ、なまめかしさ、美しさは他の誰よりも勝っているから。
「や、やりますご主人様……」
最初のコメントを投稿しよう!