1. 王道的展開

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理事長さんから簡単にこの学校について教えてもらった。 生徒会が教師と同じくらいの権力をもってるだとか、風紀委員が問題だと思ったら教師を解雇できるだとか、ちょっとよくわからなかったけど、生徒会と風紀がすごいっていうのだけはわかった。 あとは、 「生徒会も風紀委員もこの学校でトップクラスの人気者がなる役職みたいなものだから、あんまり深く関わるのはおすすめしないかな」 「は、はい……」 生徒会と風紀委員には熱狂的なファンがいて、あんまり近づきすぎると"お仕置き"をされてしまうらしい。理事長さんは俺に言い聞かせるように何度も何度もそれを繰り返して、そのたびに頷いて返した。 「靴箱にゴミ詰められたとか、机に落書きされただとか、誰かに押し倒されたり、ガタイの良い男に囲われたりしたら、すぐに言ってね!!これ、押すだけでもいいから!!」 「えと…これって……」 やけに焦っている理事長さんが、俺の手をとって小型の器械を持たせる。 これって…防犯ブザー…? 「小さい可愛い男の子たちに呼び出されたら、ついて行く前に連絡すること!」 「?はい…」 「素顔は誰にも見られないこと!」 「ぁ、はい…」 「生徒会長に捕まったら、頑張って逃げること!」 「……?」 「風紀委員長にお仕置きだとかで何かされそうになったら叫んでね!」 「???」 ぽかんと口を半開きにして、理事長を眺める。まだ何か言っているけど、ほとんど理解できていない。 「君に何かあったら………俺死ぬからね?!!」 「ぇ…?」 これは……メンヘラっていうやつ?? 孝宏くんが昔、女の子に付きまとわれてて「あいつめんどくせぇな。メンヘラかよ」とかぼやいてたし… 「私のものにならないなら、あなたを殺して私も死ぬ!!!」とか叫びながら包丁を持っていた女の子を容赦なく蹴り飛ばしてたし… その後に「もしあんな奴に絡まれたら言ってください。殺してきますから」と良い笑顔で言われたことがある。 うむ…… でも、なんで俺?? 「わかった??!」 「ぁ、はい…」 結局、何一つわかっていないけど理事長さんの圧に押されてこくこくと何度も頷いた。 それを見た理事長さんは「よしよし」と満足そうに笑って、 「あ、もうすぐ君の同室の子が来るはずだから」 と溢した。 うん?? 「あの……同室って…?」 「あれ?聞いてない?ここ、二人部屋だよ。 だから、西園寺くんも同室の子がいるわけ」 あれ 天満くんから聞いてた話と違う…? 天満くんは「一人部屋ですから。他の人に気を使う必要ありませんよ」って。孝宏くんも「いつでも電話してください」って……言ってたような まぁ、いいか 一人部屋だと心細いから、誰か一緒にいてくれる人がいるならそれで。あんまり寂しくなさそうだし 一人でうんうんと首を捻っては、ぱっと顔をあげた俺を見て理事長さんがバタバタと暴れていたことには全く気づかなかった。
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