プロローグ

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プロローグ

それは突然で 1年ほど前に卒業していった生徒からかかってきた電話 「西園寺紫月(さいおんじしづき)を死ぬ気で守ってください」 それが、新たに課せられた命令だった 祖父が元総理大臣で、父も母も兄も政治家という政治一家に生まれた、財力も頭も美貌も悪知恵もすべてを兼ね備えた綾辻天満(あやつじてんま)が、たった一人の人間を守れと言った。 しかも、死ぬ気で─と その男がいったい何者なのか、どういう関係なのかを尋ねる前にプツリと途切れてしまった通話。機械音だけが耳元で鳴っていて、「あぁ…綾辻はこういう人だった…」と小さくため息をついた。 その数日後。 「西園寺紫月」という名を見つけた。 その書類に付けられている証明写真を見て、発狂してしまったのはここだけの秘密だ
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