わんこのめせん

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 あ、パパが帰ってきた!  ぼくは急いで玄関ドアの前にすわる。  へへ、パパの足音はちゃんと覚えてるもんね。 『ただいま』  ドアが開くと同時に、ぼくはいきおいよくジャンプ!  そのままパパに飛びつく。 「おかえりー!!」  こうするとパパ、すごくよろこぶんだよね! 『ウルフィー、今日も元気なお出迎えだなあ』  でしょでしょ!?  帰ってくるの、ずっと待ってたんだからね! 「ね! ね! おさんぽ行こうよ! あ、その前にごはん食べたい!」 『はいはい、ちょっと待っててね。着替えてくるから。それからごはんにしような』  パパはぼくの頭をなでてとなりの部屋に行っちゃった。  まだかな、まだかな。  ついそわそわしちゃう。  おさんぽも大好きだけど、ごはんも大好きだからね! 『お待たせ。今日もお利口にしてたかな?』 「うん、してたしてた! いたずらもしてないよ」 『そうか。よし、じゃあ今日のごはんは多めにしよう』 「やったぁ!!」  ぼくはご飯が大好き。  カリカリのまま食べるのもいいけど、お湯にひたしてちょっとやわらかくなったごはんも好きだよ。  ごはんを食べたらおさんぽの時間!  お気に入りはちかくの公園。  きれいなお花がたくさん咲いていて、周りには川も流れてるんだよ。  パパがお休みのときはお昼間に行けるけど、今日はお仕事のあとだから夕方なんだ。  この時間ってなんだかちょっとさびしい感じがするね。  おともだちもあまりいないし。  次のお休みになったらお昼に行こうね!    帰ってきたら手と足を洗うよ。  これ、ちょっとニガテ……。  あ、鼻にしわをよせてるけどおこってるワケじゃないよ?  手をさわられるとなんだかムズムズしちゃうんだ。  でもぼくはかしこいから、ちゃんとがまんできるんだ。  きれいにしたら、ちょっとだけおやつを食べて今日はおしまい。  そろそろお休みしようかな?  でもまだ遊びたりない感じもするなあ。  あ、テーブルに何かおいてあるね。  パパがいつも使ってるやつだ!  ん~、たしかこんなふうにしてて……。  わ! なにこれ!?  急に目の前がヘンになっちゃった!! 「パパ~! ちょっと来て~!」  う~ん、なんか目がぐるぐるする?  いろんなものがぼやけて見えるよ~? 『おーい、どうしたー?』 「あ、パパ! これ、ヘンなの! パパのまねしたらいろんなものがぐにゃぐにゃになったんだよ!」 『ん、ウルフィー。またいたずらしたな?』  上のほうからパパの声がして、ひゅっと手が伸びた。  と思ったら、目の前が元にもどったよ。 『これはパパの大事な眼鏡なんだから、いたずらしちゃだめだぞ?』  おこられちゃった……。  パパ、ごめんね!  ぼくがちょっとしょんぼりしてたら、パパはぼくの頭をぽんぽんってなでてくれたよ。  もういたずらしないからね!    終  
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