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ご存じのように「源氏」のメインカップルは克己と桜であり、BLがテーマではありません。しかし匂わせから実際の肉体関係まで、いくつもの同性愛的表現がサラッとぶっこまれています。
克己に対する、彼の異母兄・小太郎の激重ブラザーコンプレックス。
義経から頼朝(源氏)への一途な恋心。
義経と弁慶。弁慶と海尊。このあたりは匂わせ、ブロマンスですかね。
そして、義経と克己。私は義経と克己が肉体関係をもつシーンに一瞬にして心を奪われました。
少しだけ、このシーンについて語っていいですか。
義経の想い人である源氏は、ストーリー冒頭で既に故人になっています。義経は突然目の前に現れた「源氏にうりふたつの顔をした」克己に驚き、「源氏の高潔さとは真逆の」克己の軽薄な態度にイラつきます。もちろん克己も「俺は源氏じゃない」と反発しますが、次第に義経の切ない恋心――いくつもの意味で絶対にかなうことのない――に共感して「そんなに似てるならキスしていいよ」と言う。「ばっかだなあ…、してあげればよかったのに。ちゃんとこのキスをしてあげたら、口で言うより解るのに。あんたがどんなに源氏を好きか」と言うんですね。そして抱かせてあげる。
いま思えば、このシーンの克己のふるまいは「ほだされ受け」「お尻で抱く受け」に近いですよね。私は克己に対して、少女漫画のヒロインたちとは全く違う印象を持ちました。つまり学校イチのイケメンに無条件に溺愛される「平凡な(?)女の子」とか、自己主張の塊みたいな「おもしれー女」とは全然違うと、私の目には新鮮に映りました。
「愛されて、守られて幸せになる」「結婚か、失恋か」「女も強くあるべき」みたいな価値観ではない自由さを教えてもらったような気がしたんだよなぁ……。
ふたりが「ケンカップル」みたいなやりとりをしてるのも好きだった。
男どうしの対等な関係性。そのうえに恋愛感情やほだされのような、濃密で色っぽい心の通いあいがある。
そういうところに惹かれた気がします。
あとは単純に、この作品はBLではないにせよ「出てくる男キャラがみんなきれいで、いつも仲良くべたべたしてる」という点も好きだったんだと思います。現実世界からほどよく切り離された、美しい妄想の世界。いいですよね。
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