今度は素直に

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『代理婚活というのは、独身の子供の代わりに親が婚活を行うものです』  ニュース番組の特集が流れた時、私は夕飯を食べていた。今年30歳になる私は独り身で、両親もこのテレビに映っている人たちのように心配しているのかもしれないなぁと思っていた。同時に自分とは関係のない世界だとも感じていた。まさか自分の親も代理婚活パーティーに参加しているなんて知らずに、スーパーで買った半額唐揚げを食べていたのだ。 「聞いてないんだけど」 「週末、会わせたい人がいるって言ったでしょう」 「そうだけど」 確かに聞いたが、その時は『会わせたい人って誰だろ〜』と軽く考えていた。母が勝手に私の婚活をしていて、その相手と会うと誰が予測できただろう。私は桜色のワンピースをはためかせた。おしゃれなレストランでの食事を予定していたので、今日は上品に決めている。まだ2度しか使用していないワンピースは『着ている』というよりも『着られている』に近い。 「あちらのお母様は、とっても良い方なの。可愛らしくて、きっと気にいるわ」 「へぇ」 「まぁすぐに結婚しろって訳じゃないのよ。今日は会うだけ。あなたが振られるかもしれないんだから気楽に行きなさい」 「いたっ」  バシッと気合いを入れるように背中を叩かれた。別に会いたいと私が言った訳でもないのにお断りされるのも何か嫌だ。憂鬱な気分が出ていくように、ため息を吐いた。その隣で母が手を挙げて、声を張る。 「あ、いたわ。お待たせして申し訳ありません。横田さん」 「いえいえ、さっき来たばかりだから」  人の良さそうな笑みを浮かべた女性が母に答えた。彼女の後ろには背の高い男性が立っていた。180くらいはありそうだと私は視線を上げて、息を呑んだ。彼の方も目を開き、顔が強張っていた。
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