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少しするとかすかに小さな声で犬の鳴き声が聞こえてきた。
その犬の鳴き声は少しずつ大きくなっていって、はっきりと聞こえるようになると、その犬の鳴き声はソラに違いないと僕は確信を持った。
どうもソラの鳴き声は僕の背後から聞こえているような感じがして、僕がふと後ろを振り返ると光が見えて、その光の中からソラが姿を現した。
「ソラ、お前も死んだのか?」
僕がしゃがむとソラが僕のところに駆け寄って来て、僕の膝に前足をかけて僕の顔を覗き込むようにしながら、
「クゥー、クゥー」
と鳴き始めた。
僕が案内人の女性に、
「犬も死ぬとここに来るのですか?」
と聞くと、
「犬も死んだらここに来ますが、この犬が死んだという情報はないのです。」
と今の状況を話してくれた。
ソラは僕のもとを離れて少し歩いた先で振り向いて僕の方を見て、
「ワンワン」
と吠え始めた。
このようなソラの行動は、僕を呼んでいる時だということを僕は知っている。
このため僕は立ち上がってソラのいる方向に歩き始めた。
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